「bibliotheca hermetica 叢書」第二弾: 『パラケルススと魔術的ルネサンス』

パラケルススと魔術的ルネサンス (bibliotheca hermetica 叢書)作者: 菊地原洋平,ヒロ・ヒライ出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/12/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 世界的に活躍する初期近代思想史家、ヒロ・ヒライ博士による「…

スピノザの聖書解釈の矛盾

Steven Nadler, “Scripture and Truth: A Problem in Spinoza’s Tractatus Theologico-Politicus” in Journal of the History of Ideas 74.4 (2013): 632-642. Journal of the History of Ideasの十月号には、スピノザの聖書解釈が小特集としてとりあげられ…

Yitzhak Y. Melamedによるスピノザの形而上学

Yitzhak Y. Melamed, Spinoza's Metaphysics: Substance and Thought (Oxford: Oxford University Press, 2013) ジョンズ・ホプキンス大学のメラメッド教授の待望の第一作目がオックスフォード大学からこの八月に刊行された。メラメッド教授はエール大学のマ…

マイヤー『レオ・シュトラウスと神学-政治問題』

レオ・シュトラウスと神学‐政治問題作者: ハインリッヒマイアー,Heinrich Meier,石崎嘉彦,飯島昇藏,太田義器出版社/メーカー: 晃洋書房発売日: 2010/10メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る 学会発表のために読んだので、少し感…

榎本恵美子『天才カルダーノの肖像』bibliotheca hermetica 叢書

天才カルダーノの肖像: ルネサンスの自叙伝、占星術、夢解釈 (bibliotheca hermetica 叢書)作者: 榎本恵美子,ヒロ・ヒライ,坂本邦暢出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/07/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見るこのたびbibliotheca her…

アブストラクト:メランヒトンにおける社会秩序: プラトン、農民戦争、そしてアリストテレス

今週末に学習院女子大学で開催される「西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀(1550-1650)」での私の発表のアブストラクトを掲載します。 "Melanchthon on Social Order: Between Plato, the Peasants’ War, and Aristotle" 「メランヒトン…

7/20(土)国際会議開催のお知らせ「西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀(1550-1650)」

今週の土曜日7月20日に、学習院女子大学2号館237号室で国際会議が開催されます!ルネサンス研究の第一線で活躍しているスカラーたちが集まって知の饗宴をおこないますので、ぜひぜひ起こしください!ちなみに私も僭越ながら、フィリップ・メランヒトン(14…

ジョンミルバンクとラディカル・オーソドクシー

John Milbank, “Knowledge: The theological critique of philosophy in Hamann and Jacobi,” in Radical Orthodoxy: A New Theology, ed. by John Milbank, Catherine Pickstock, and Graham Ward (London: Routledge, 1999), 21-37. ラディカル・オーソド…

科研費プロジェクトのネットインタビュー

昨日は科研費プロジェクト「西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀」(代表:根占献一;http://kaken.nii.ac.jp/d/p/25284022.ja.html)の一環として、ネットインタビュー「加藤喜之、アメリカでの研究生活と今後の活動を語る!」をひらいて…

グラハム・ワードとポスト・モダンなカール・バルト

Graham Ward, “Barth, modernity, and postmodernity,” Cambridge Companion to Karl Barth (Cambridge: Cambridge University Press, 2000), 274-295. グラハム・ワード(1955-)はジョン・ミルバンクやキャサリン・ピックストックらとともにラディカル・オー…

『お早よう』小津安二郎

『お早よう』小津安二郎 1959年 松竹 なんてことはない日々のことばの紡ぎ方を題材にしてコミュニケーションの問題を描いた作品である。 この映画がコメディーである理由は、扱っている題材の深遠さがあらわれ、またかくされるのにもっとも適したジャン…

シュライアマハーとオットーの宗教論

Andrew Dole, “Schleiermacher and Otto on Religion,” Religious Studies 40.4 (2004): 389-413. 現代の宗教学を大きく分ける二つの学派がある。ひとつは宗教を自然主義的に理解するもの。これは経済的要因や社会的要因に還元するアプローチも含む。二つ目…

ポスト・カント的スピノザ主義者としてのシュライアマハー

Julia A. Lamm, “Schleiermacher’s Post-Kantian Spinozism: The Early Essays on Spinoza, 1793-94,” The Journal of Religion 74.4 (1994): 476-505. この論文は1793, 94年にシュライアマハーによって書かれたスピノザに関する二本の論文の分析を通して、…

ヨゼフ・フロマートカと佐藤優

神学入門: プロテスタント神学の転換点作者: ヨゼフ・ルクルフロマートカ,平野清美,佐藤優出版社/メーカー: 新教出版社発売日: 2012/03/23メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログを見る この本の詳細な書評は京都大学の上原さんが行っているの…

「姉崎正治と近代の「宗教問題」--姉崎の宗教理論とそのコンテクスト--」

深澤英隆、「姉崎正治と近代の「宗教問題」--姉崎の宗教理論とそのコンテクスト--」『啓蒙と霊性:近代宗教言説の生成と変容』、岩波書店、2006年、75-121頁 これは、東大のみならず日本の宗教学の基礎を築いたとされる姉崎正治(1873-1949)の宗教思想を、そ…

博士号取得!

博士論文の口頭試問が昨日の午前10時から行われました。プリンストンでの5年間、そして構想から4年の博士論文を公の場で発表できたことは、すばらしい経験になりました。多くの人に見守られながら指導教官たちとよい議論をくりひろげることができ、また…

博論提出とR&B

16日のお昼にようやく博論を委員会に提出することができました。最後の一ヶ月はかなりきついスケジュールで、多くのひとにご迷惑をおかけしました。ですが、なんとか完成することができ、本当に感謝しています。3月15日の口頭試問に向けて準備を開始し…

アリストテレスとヘーゲルの間にあるスピノザのコナトゥスの問題

スピノザ哲学の根幹に、コナトゥスという概念があるのはよく知られている。コナトゥスとは、すべての存在が自己を肯定して、自己を確立していくプロセスをさしている。どのような存在にもコナトゥスは備わっており、コナトゥスぬきには、個々の存在を理解す…

シンポジウムの動画公開!

メガシンポのおおとりをつとめた柴田和宏さんが、7月6、7日に立教大学で開催されたシンポジウム「人知の営みを歴史に記す:中世・初期近代インテレクチュアル・ヒストリーの挑戦」の動画をまとめてくださいました。二日目だけですが、ご覧ください! 柴田さ…

シンポジウム『人知のいとなみを歴史にしるす』@立教大学のお知らせ!

シンポジウムのお知らせです!きたる7月6日、7日に立教大学・池袋キャンパス・太刀川記念館3F多目的ホールで、『人知のいとなみを歴史にしるす-中世・初期近代インテレクチュアル・ヒストリーの挑戦-』というものすごいイベントがひらかれます!現在の日…

オランダ旅行

しばしブログ更新をなおざりにしてしまった。そのお詫びといってはなんだが、オランダへの資料収集の旅の一部をご紹介させていただきたい。4月28日から5月8日まで、オランダに滞在していた。今回の旅の目的は、17世紀後半にネーデルラントで行われた…

ジュディス・バトラーと人文教育の危機

プリンストン大学で、今日、明日開かれる The Humanities in the Public Sphere Symposium というカンファレンスのプレナリースピーカーとしてジュディス・バトラーが講演した。彼女は現代思想、フェミニズム、クィア理論などの分野で活躍している。日本でも…

スピノザの宗教とラディカルな啓蒙思想

Wiep van Bunge, "Spinoza and the Idea of Religious Imposture," in On the Edge of Truth and Honesty: Principles and Strategies of Fraud and Deceit in the Early Modern Period, ed. by Toon van Houdt, Jan L. de Jonge, Zoran Kwak, Marijke Spies…

ホッブスと救い

Roberto Farneti, "Hobbes on Salvation" in The Cambridge Companion to Hobbes's Leviathan, edited by Patricia Springborg (Cambridge University Press, 2007), 291-308. トマス・ホッブスと「救い」に、どのような関係があるのだろうか。現代において…

ジャン・カルヴァンと改革派教会の伝統

Richard A. Muller, "John Calvin and later Calvinism" in The Cambridge Companion to Reformation Theology, David Bagchi and David C. Steinmetz, eds. (Cambridge: Cambridge University, 2004), 130-149 先週に引き続いて、16・17世紀の改革派教…

カルヴァン主義とスコラ学の関係

Carl R. Trueman, "Calvin and Calvinism" in The Cambridge Companion to John Calvin (Cambridge: Cambridge University, 2004), 225-244. 従来の研究において、ジャン・カルヴァン (1509-1564) と改革派(カルヴァン派とも呼ばれる)の関係は相反するもの…

偶有性 (accidentia) と様態 (modus)

Calvin G. Normore, “Accidents and Modes” in The Cambridge History of Medieval Philosophy (Cambridge: Cambridge University, 2010), 674-685. アリストテレスの『カテゴリー論』のなかには、名詞と形容詞を分類する「実体」「分量」「性質」「関係」「…

クラウベルクとデカルト主義

Theo Verbeek, "Johannes Clauberg: A Bio-Bibliographical Sketch" in Johannes Clauberg (1622-1665) and Cartesian Philosophy in the Seventeenth Century, ed. Theor Verbeek (Dordrecht: Kluwer Academic Publishers, 1999), 181-199. 1622年にゾーリ…

The Continuum Companion to Spinoza (2011)

The Continuum Companion To Spinoza (Continuum Companions)作者: Wiep Van Bunge,Henri Krop,Piet Steenbakkers,Jeroen Van de Ven出版社/メーカー: Continuum Intl Pub Group発売日: 2011/05/12メディア: ハードカバー クリック: 15回この商品を含むブロ…

文献学とラディカルな啓蒙主義のはざま

新刊紹介。 Between Philology and Radical Enlightenment: Hermann Samuel Reimarus (1694-1768) (Brill's Studies in Itellectual History)作者: Martin Mulsow出版社/メーカー: Brill Academic Pub発売日: 2011/10/01メディア: ハードカバー クリック: 2…