2009-01-01から1年間の記事一覧
ようやくスコトゥス論文が完成した。Abstract The goal of this paper is to understand Scotus’ notion of univocity between God’s being and the created being. Scotus’ teaching is a significant break from the intellectual tradition that deemed t…
今朝読んだ論文で"Radical Orthodoxy"派のCatherine Pickstockが書いた "Duns Scotus: His Historical and Contemporary Significance" Modern Theology 21.4(2005), 543-74. がなかなかすばらしかった。彼女のトマス理解のほうが、分析哲学やプラグマティズ…
ひきつづき、ヴァチカン版のOrdinatio をよむ。単純なラテン語だが、スコトゥスの内容が難しいので、何度も反復しながら読む。あいかわらずDumontの論文は役にたつ。明日は、神の単純性(simplicitas)と単一議論について読むつもりだ(1 Ord. d. 8 nn.39-156)。
スコトゥスの単一議論は、神の本質(essentia)が、人間の理性が理解しうる事体から導きだすことができなくなったときに、神学にとり重要な概念となった。アリストテレス的認識論では、さまざまな普遍概念、例えば「善」「義」「力」という概念は、人間の理性…
なぜスコトゥスの単一議論についてかくのか。デリダ、ドゥルーズ、バドゥがスコトゥスについて書いているのは、ひとえにハイデガーが学位論文でスコトゥスをとりあげ、ある意味ハイデガー以降の存在論に大きく影響を及ぼしているのが一つ。その影響をうけ、…
Cyril Shircel, The Univocity of the concept of being in the philosophy of John Duns Scotus. Washington D.C.: The Catholic university of America press, 1942.古い本ゆえに、戦前のスコトゥス研究について知ることができる。Shircelの目的は、トマス…
Atomism in Late Medieval Philosophy and Theology (History of Science and Medicine Library)作者: Christophe Grellard,Aureleien Robert出版社/メーカー: Brill Academic Pub発売日: 2009/01/15メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見…
スコトゥスの単一議論(univocus)について書いている。今日はDenys TurnerのFaith, Reason, and the Existence of God (Cambridge University Press, 2004)を読んでいた。Richard Crossのスコトゥス理解に対して、スコトゥスの議論はトマスには適応できないと…
Ryan Glomstrud, "Karl Barth as Historical Theologian: The Rediscovery of Reformed Theology in Barth's Early Dogmatics" from Engaging with Barth: Contemporary Evangelical Critiques edited by David Gibson and Daniel Strange, England, Great B…
神学という学問は、どのあたりが学問なのだろうか。キリスト教神学の場合、西洋社会の中ではある一定の位置を保ちつつ、今日まで存在してきた。しかし、基督教という信仰を土台にどのような学問が可能なのだろうか。問題は、神学と他の学問、たとえば数学の…
コーネル・ウェストをWitherspoon Presbyterian Churchまで聞きにいく。なぜ彼が今回の大統領選挙でオバマを支持することになったのかを、コルトレーンを交えて語る。Oratorとしてのウェストは群を抜いている。
これからの国の方向性を大いに決める可能性のある選挙が30日に行われる。可能性としか現在では言えないのは何故か。それは93年に8党連立政権(新生、日本新、さきがけ、公明、社会、民社、社会民主連合、民主改革連合)時に瓦解したはずの自民党とその…
講義の準備はなかなか時間がかかる。ゼロからの準備だからしょうがないか。 イスラムの興隆とキリスト教への影響を書いている。一昔前の教科書にはあまり記述されていない主題だ。
アウグスティヌスの論文終了。タイトルは以下の通り。‘My God, where are you?’ Augustine’s Search for the Knowledge of God in the Books X-XIII of Confessions後は夏の講義の準備をして、金曜日に帰国だ。ラヴリィー!
結論を残してほぼ書き終わった。勿論まだこれから色々といじくり回して、キレイになっていってもらうつもりだが。これからH博士に頼まれた文献を火石図書館まで探しにいく。昨晩のJ夫妻のお別れBBQは楽しかった。プリンストン中の日本人が集まった感じ。
イントロが漸く書けた。通常は本論を書いてからなのだが、今回はなかなか良い案が浮かびトントンと出来た。明日になっても残っていると良いのだが。担当教授がカルヴァン生誕500周年記念アジアツアー中なので、家なき子の俺は教授の家に居る。とても静か…
明日は祝日だが、午前十時までには寮を完全退去しなければならない。ヤレヤレです。そんなわけで午後から引っ越しをした。ほぼ完了したが、まだ少し残っているので、明日朝早く起きて残りの荷物を動かし、掃除をしなければ。毎年の引っ越しは疲れる。
アウグスティヌスの論文はひとまず置いておき、ある博士を尋ねる為に兄弟愛の街まで行く。昼飯をごちそうになり、博士のオフィスで様々な有益な話を聞く。いやー、思想史の第一線でばりばりやる日本人は違うなぁ。俺もコツコツ頑張ろう。ドイツ語かフランス…
引き続きブラウン先生のゼミの準備。先生の "Pelagius and His Supporters: Aims and Environment" (Journal of Theological Studies 19 [1968]: 93-114, now found in his Religion and Society in the Age of St. Augustine, 183-207) は思想史・社会史が…
午前中はスピノザ関係の文献集め。プロテスタントの形而上学についての文献二冊。Leinsle, Ulrich Gottfried. Das Ding Und Die Methode: Methodische Konstitution Und Gegenstand Der Frühen Protestantischen Metaphysik. Reihe wissenschaftlicher Texte…
レポートの為にMarvin D. JonesのAthanasius' Concept of Eternal Sonship as Revealed in Contra Arianos (The Edwin Mellen Press, 2006)を読んでいる。歴史批判があるわけでもなく、大きな文脈に位置づけるわけでもなく、アタナシウスの思想全体の中での…
教会への道のりでは霧雨の用立った天候も、昼からは晴れ、だんだんと春らしくなって来ている。図書館にショスターコビッチの弦楽四重奏2、3番、セルゲイ・エイゼンシュテインの『イヴァン雷帝』を返しにいく。 夜は高等研究所に在籍中のJonathan Israelに…
ピーター・ブラウン教授のゼミ(アウグスティヌスの時代の諸宗教について)の準備のために以下の文献を読んでいる。Michele Renee Salzman, On Roman Time (Berkley: University of California, 1990). ________. The Making of a Christian Aristocracy: So…
九時過ぎに研究室に着き、午前中は以下の2冊を読む。J. A. van Ruler, The Crisis of Causality: Voetius and Descartes on God, Nature and Change (Brill, 1995). Dan Garber, Descartes' Metaphysical Physics (U. Chicago, 1992).CassirerのThe Philoso…
『生きる』 黒澤明 1952年 この映画には、いまをどう生きるかといった様な道徳的な問いかけで、片付けることの出来ない壮大な美と物語がある。シンプルにいえば、人間と創造である。人は生きる意味のない、日々変わることのない永遠性の中にいきている。…