神学

神学という学問は、どのあたりが学問なのだろうか。キリスト教神学の場合、西洋社会の中ではある一定の位置を保ちつつ、今日まで存在してきた。しかし、基督教という信仰を土台にどのような学問が可能なのだろうか。

問題は、神学と他の学問、たとえば数学の「学」という字の中に同一の意味を見いだすことができるのかどうかである。中世の神学はギリシャの哲学との対峙のなかで一定の位置を確立してきた。アリストテレスの論理学が深く理解されればされるほど、神学との距離が遠くなっていったことも事実である。

中世前期のスコラ学者といえば、アンセルムスだが、かれの理解する神学と、アラビア・アリストテレス学派の影響を受けたトマス・アクィナスとの間には「学」の理解にいささか違いがあったのではないだろうか。