2010-01-01から1年間の記事一覧

メランヒトンと私有財産

最近はもっぱらメランヒトン。発表も論文も終わったのに気になる。Paul W. Robinson, "'The Most Learned Discourses of the Philosophers and Lawyers': Roman Law, Natural Law, and Property in Melanchthon's Loci Communes" in Concordia 2002: 41-53. …

雑記的なもの

モントリオールがおわり、総合試験用に16・17世紀のプロテスタント大学、主に改革派、における形而上学の発展をまとめたり、今朝(11.19.10)行ったルターと中世聖餐論についてのレクチャーの準備などをしていた。忙しいながらも、先々週はメトロポリタン…

モントリオールと十六世紀学会

Sixteenth Century Society and Conferenceの為に、モントリオールに来ている。木曜日の1:30に"The Peasants' War and Melanchthon's Reinstating of Aristotle's Ethics in the Protestant Arts Curriculum" というタイトルの発表をする。一番最初のセ…

総合試験 第一部

漸く三つの総合試験がおわる。準備を五月末からはじめて、一つの試験につき30−35冊の本を読んでいた。心身ともにぐったりである。しかし、十六世紀学会の準備のため、ゆっくりするわけにもいかない。少しブレイクが必要である。

トウキョウソナタ

『トウキョウソナタ』をみる。2008年カンヌ映画祭において、「ある視点」部門審査員賞を受賞した、黒沢清監督の映画である。カメラワークがとても面白く、たとえば、役所広司扮する泥棒役に妻役の小泉今日子が誘拐され、逃亡の機会があるにも関わらず、…

カルヴァンと神理解

カルヴァンの神理解については、いやというほど出版物が多い。バルト以降、特にカルヴァンの人間理性による神理解と啓示による神理解の分析に、多くのページが割かれて来た。戦後は、エミル・ブルンナーのもとでの博士論文であるDoweyのThe Knowledge of God…

宗教改革と人文主義

人文主義と宗教改革の関係性については、古くはディルタイやトレルチ、60年代に入りメラー(Bernd Moeller)、そして近年ではHeiko Oberman, Cornelis Augustijn、Thomas Bradyなどが優れた研究を出している。特に最近の研究では、Sachiko KusukawaのThe Tra…

前近代と宗教改革

総合試験の準備も大詰めだ。中世をあとにして、前近代(early modern)に入る。「概論」、「イエズス会とアジア宣教」、「人文主義と宗教改革」、「カルヴァンと神の知識」、「オランダ宗教改革」、そして「スアレスと新スコラ学」。イエズス会とアジア宣教を…

中世イスラム

シカゴ大学Committee of Social Thoughtの教授であったMarshall Hodgsonの三部作のvol 2。"Islamdom" "Islamicate"等のネオロギスムスがあり、晦渋な文章は気になるが、情報量の豊富さはすごい。精神史を専門にやっていた人の歴史書だが、政治・経済発展史も…

中世・ルネサンス政治思想

The Foundations of Modern Political Thought: Volume 1, The Renaissance作者: Quentin Skinner出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 1979/02/15メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見るVol2は読んでいた…

中世概論

総合試験のため古代を終え、中世に突入。今週後半は立て続けに、概論3冊を読む。Medieval Foundations of the Western Intellectual Tradition (Yale Intellectual History of the West Se)作者: Professor Marcia L. Colish出版社/メーカー: Yale Universi…

アタナシウスと二ケア論争

David M. GwynnのThe Eusebians: The Polemic of Athanasius of Alexandria and the Construction of the 'Arian Controversy'(2007)をもって、一応アリウス議論関連の本を読み終わる。ほかにもR.P.C. HansonのThe Search for the Christian Doctrine of God…

平井先生とフィリー

平井博士にあいにフィラデルフィアへいく。ちょうど一年前の5月24日にフィリーでお会いしてから色々とお世話になっている。平井博士は1999年にフランスのリール大学で博士号をとられ、2005年に出版された彼の処女作はヨーロッパのいくつかの学術賞を…

スピノザの日

今日は朝から、スピノザに関する論文発表が大学であった。大学の哲学科のダニエル・ガーバー教授の提案で、一日をスピノザの研究発表につかう日をもうけられたようだ。Harry Frankfurt(プリンストン)、Pina Totaro(ローマ)、Sandra Field (プリンストン)、Ca…

ユルゲン・ハバーマス

五時からハバーマスの公開講義をききにいく。"The Utopian Surplus of Human Rights"というタイトルでのレクチャーだったが、やはりハバーマスではだめだ。

The Sixteenth Century Society and Conference

今年の10月14日から17日に、カナダのモントリオールで開催される十六世紀学会で、メランヒトンの論文を発表することが正式に決まる。モントリオールは初めてなので楽しみである。論文を短くまとめたりする作業もしなくてはならないので、忙しくなりそ…

スピノザ研究

オランダから優れた研究書が英語でわんさか出ている。今日読んだ以下の本もロッテルダム大学のものだ。Wiep van Bunge, From Stevin to Spinoza: An Essay on Philosophy in the Seventeenth Century Dutch Republic (Leiden: Brill, 2001).Van Bungeの論文(…

J. Kameron Carter

今夜、キング牧師を記念した公開講義で、デューク大学のJ. Kameron Carter博士を招いて、“An Unlikely Convergence: W.E.B. Du Bois, Karl Barth, and the Problem of the Imperial God-Man” というレクチャーを聴いた。 Carter博士は、Race: A Theological …

内村鑑三と天皇

先日プリンストンの歴史学科の集まりで「内村鑑三と天皇」というテーマで発表する。上智のマーク・マリンズ教授が先に発表して、その後に続く。論点は、内村の内包する二つの論理的矛盾。一つは、内村が、大日本帝国憲法を近代的立憲君主制を定めたものとと…

メランヒトン終了

前回のブログ記入をしてから、二週間以上がたっている。その間ひたすら1525年のドイツ農民戦争とメランヒトンのアリストテレスの『倫理学』の関係についての論文を書いていた。 それも無事おわり、受け持っていた授業の期末テストの採点も終わり、これで…