2012-01-01から1年間の記事一覧

アリストテレスとヘーゲルの間にあるスピノザのコナトゥスの問題

スピノザ哲学の根幹に、コナトゥスという概念があるのはよく知られている。コナトゥスとは、すべての存在が自己を肯定して、自己を確立していくプロセスをさしている。どのような存在にもコナトゥスは備わっており、コナトゥスぬきには、個々の存在を理解す…

シンポジウムの動画公開!

メガシンポのおおとりをつとめた柴田和宏さんが、7月6、7日に立教大学で開催されたシンポジウム「人知の営みを歴史に記す:中世・初期近代インテレクチュアル・ヒストリーの挑戦」の動画をまとめてくださいました。二日目だけですが、ご覧ください! 柴田さ…

シンポジウム『人知のいとなみを歴史にしるす』@立教大学のお知らせ!

シンポジウムのお知らせです!きたる7月6日、7日に立教大学・池袋キャンパス・太刀川記念館3F多目的ホールで、『人知のいとなみを歴史にしるす-中世・初期近代インテレクチュアル・ヒストリーの挑戦-』というものすごいイベントがひらかれます!現在の日…

オランダ旅行

しばしブログ更新をなおざりにしてしまった。そのお詫びといってはなんだが、オランダへの資料収集の旅の一部をご紹介させていただきたい。4月28日から5月8日まで、オランダに滞在していた。今回の旅の目的は、17世紀後半にネーデルラントで行われた…

ジュディス・バトラーと人文教育の危機

プリンストン大学で、今日、明日開かれる The Humanities in the Public Sphere Symposium というカンファレンスのプレナリースピーカーとしてジュディス・バトラーが講演した。彼女は現代思想、フェミニズム、クィア理論などの分野で活躍している。日本でも…

スピノザの宗教とラディカルな啓蒙思想

Wiep van Bunge, "Spinoza and the Idea of Religious Imposture," in On the Edge of Truth and Honesty: Principles and Strategies of Fraud and Deceit in the Early Modern Period, ed. by Toon van Houdt, Jan L. de Jonge, Zoran Kwak, Marijke Spies…

ホッブスと救い

Roberto Farneti, "Hobbes on Salvation" in The Cambridge Companion to Hobbes's Leviathan, edited by Patricia Springborg (Cambridge University Press, 2007), 291-308. トマス・ホッブスと「救い」に、どのような関係があるのだろうか。現代において…

ジャン・カルヴァンと改革派教会の伝統

Richard A. Muller, "John Calvin and later Calvinism" in The Cambridge Companion to Reformation Theology, David Bagchi and David C. Steinmetz, eds. (Cambridge: Cambridge University, 2004), 130-149 先週に引き続いて、16・17世紀の改革派教…

カルヴァン主義とスコラ学の関係

Carl R. Trueman, "Calvin and Calvinism" in The Cambridge Companion to John Calvin (Cambridge: Cambridge University, 2004), 225-244. 従来の研究において、ジャン・カルヴァン (1509-1564) と改革派(カルヴァン派とも呼ばれる)の関係は相反するもの…

偶有性 (accidentia) と様態 (modus)

Calvin G. Normore, “Accidents and Modes” in The Cambridge History of Medieval Philosophy (Cambridge: Cambridge University, 2010), 674-685. アリストテレスの『カテゴリー論』のなかには、名詞と形容詞を分類する「実体」「分量」「性質」「関係」「…

クラウベルクとデカルト主義

Theo Verbeek, "Johannes Clauberg: A Bio-Bibliographical Sketch" in Johannes Clauberg (1622-1665) and Cartesian Philosophy in the Seventeenth Century, ed. Theor Verbeek (Dordrecht: Kluwer Academic Publishers, 1999), 181-199. 1622年にゾーリ…

The Continuum Companion to Spinoza (2011)

The Continuum Companion To Spinoza (Continuum Companions)作者: Wiep Van Bunge,Henri Krop,Piet Steenbakkers,Jeroen Van de Ven出版社/メーカー: Continuum Intl Pub Group発売日: 2011/05/12メディア: ハードカバー クリック: 15回この商品を含むブロ…

文献学とラディカルな啓蒙主義のはざま

新刊紹介。 Between Philology and Radical Enlightenment: Hermann Samuel Reimarus (1694-1768) (Brill's Studies in Itellectual History)作者: Martin Mulsow出版社/メーカー: Brill Academic Pub発売日: 2011/10/01メディア: ハードカバー クリック: 2…

ルネ・ジラールと供儀とキリスト教

ジラールの人類学的考察は、現代の思考に逆流している。様々な普遍概念や否定神学を排除する思想的潮流の中、人類学をもとに文化一般に適応可能な概念と、キリストの十字架の普遍性を堂々と語る。勿論、街角の狂信的なツァラトゥストラの宣言とは似ても似つ…

Mogens Laerke とスピノザの哲学言語

Mogens Laerkeは、初期近代の哲学史家である。スピノザ読解者としてのライプニッツについての博士論文をソルボンヌに2003年に提出し(ピエール=フランソワ・モローが指導教官の一人である)、それを2008年に出版している。現在はアバディーン大学の…