Yitzhak Y. Melamedによるスピノザの形而上学

Yitzhak Y. Melamed, Spinoza's Metaphysics: Substance and Thought (Oxford: Oxford University Press, 2013)


ジョンズ・ホプキンス大学のメラメッド教授の待望の第一作目がオックスフォード大学からこの八月に刊行された。メラメッド教授はエール大学のマイケル・デラロッカのもとでPh.Dをとり、シカゴ大学を経てジョンズ・ホプキンス大学での現職に至っている。日本ではおそらくほぼ知られていないが、自身もユダヤ教のバックグラウンドをもっており、近年の「世俗化のヒーロー」としてのスピノザ像を、緻密なテクスト分析と中世ユダヤ教の文脈の中で脱構築している興味深いスピノザ研究者である。すでに多くの論文を発表しており、その大部分は自身のホームページとAcademiaのページからダウンロードできるようになっている。


スピノザの哲学解釈に加えて、スピノザの影響史としてドイツ観念論やザーロモン・マイモン(1753-1800)の研究なども行っている。スピノザとドイツ観念論の関係に言及した第二作(Spinoza and German Idealism: A Metaphysical Dialogue)を現在準備中とのこと。


これからの活動に目が離せない研究者の一人である。


ちなみに、メラメッドが謝辞にその名を挙げている、Oded Schechterのスピノザ解釈はめちゃめちゃ面白い。ガーバー先生と一緒にゼミを担当していて、ガーバー先生の精緻な解釈のよこでギラギラドロドロのスピノザ解釈を展開していた。彼もユダヤの背景が強いが、かなりラディカルな思想の持ち主。今年シカゴ大学に、"Existence and Temporarity in Spinoza"という題の博士論文を提出した様子。


グーグルブックスによる新著のプレビューはこちら

かれの論文や著作のイントロなどはこちらでダウンロードできるようになっている。

Spinoza's Metaphysics: Substance and Thought

Spinoza's Metaphysics: Substance and Thought