煉獄の歴史 Isabel Moreira

煉獄(purgatorium)についての新しい研究書がオックスフォード大学出版から出ている。著者はユタ大学で教えるIsabel Moreira。8世紀のベーダ・ヴェネラビリスによって理論的枠組みをあたえられた煉獄の思想の背景と発展を探る。宗教改革の始まりであるとされるルターの『95か条の論題』を理解するには、煉獄をぬきにしては不可能である。また、身体性という観点から中世ヨーロッパの象徴秩序を理解する上でも、回避できない概念であろう。Jacques Le Goff, Claude Carozzi, Peter Brownに続く研究書。